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タッキングとジャイビング

タッキングとジャイビング


前回は「風位とセーリング」と題して、セーリングしている状態を風位によって、クローズホールド・ビームリーチ(アビーム)・ブロードリーチ(クォータリー)・ランニング等がある事をお話ししました。

今回は風上に向かって(クローズホールドの状態)の方向転換、これをタッキングと言います。また、風下に向かって(クォータリーの状態)の方向転換、これをジャイビングと言いますが、これらについてお話しします。

 タッキング(Tacking

例えばポートタック(ヨットの左舷側に風を受ける)のクローズホールドの状態で風上いっぱいにヨットが走っている時、目的地が船首より風上にある場合はいつまで走っても目的地には到達できない。そこで、ポートタックからスターボードタック(ヨットの右舷側に風を受ける)へ方向転換して目的地に近づく必要が生じる。この風上に向かっての方向転換をタッキングと言う。このタッキングを繰り返すことにより風上方向の目的地に到達できるのである。

また、タッキングの場合、ジブが反対舷まで大きく移動するのに比べ、メインセールの動きはわずかなので、ジブのセーリングに集中しなければならない。

下図はタッキングの要領図である。

(青木洋著「インナーセーリング」イラスト等引用)

 

 ジャイビング(Gybing・Jibing

例えばポートタックのクォータリーの状態で風下に向かってヨットが走っている時、次の目的地が風下のランニング状態(デッドラン線上)を超えた位置にある場合、ポートタックからスターボードタックへ方向転換して目的地に向かう必要が生じる。このデッドラン線上を超えて風下に向かっての方向転換をジャイビングと言う。

ジャイビングの場合、タッキングと違いメインセールが最もシートが出た状態から反対舷へ大きく移動するので、メインセールのセーリングに集中し、ブームパンチを受けないよう注意しなければならない。

下図はジャイビング(軽風時)の要領図である。

(青木洋著「インナーセーリング」イラスト等引用)

 上図のジャイビングは軽風時の要領図である。強風になるとジャイビングは途端に難しくなる。特に風をパンパンにはらんだメインセールを反対舷に返すのは、上図のようにスキッパーがメインシートをまとめてつかんで引っ張ることはできない。

よって、クルーは新しい風下側のジブシートを素早くクリートに結び、クルーがメインシートエンドを持って、ヨットがデッドランとなりメインセールの風圧が軽くなったとき、メインセールを素早く引き込んでいこう。ブームがヨットのセンターラインまで来るのに時間がかかるが、その間スキッパーは慎重にデッドランを続け、バウを回頭させてはいけない。

ブームがセンターラインに来たら、スキッパーはバウをゆっくり回頭させ、クルーはメインセールが風の力で反対舷に返ると、メインシートを繰り出していこう。