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風位とセーリング

風位とセーリング


以前「ヨットはなぜ風上に向かって進むのか?」についての理論をお話ししましたが、今回は実際にヨットが風を受けて進む場合の「風位とセーリングしている状態」すなわち「風の吹く方向によって、ヨットはどのような進み方があるのか」についてのお話しです。


下図を見てください。これは風位とセーリングの種類を表しています。

中央にドーナツのような輪がありますが、この輪は図の上部の矢印の方向から風が吹いている場合に、ヨットが進むことが出来ない方向【デッドゾーン】と、ヨットが進むことが出来る方向【デッドゾーン以外のすべての方向】を表しています。

また、この輪の外周にそれぞれの方向に進むヨットのセーリングの種類の名称が書かれています。これはヨットのセーリング用語ですので興味のある方は覚えてください。


上図において風位とセーリングの状態について説明します。

1)風位

ヨットに対しヨットが受ける風の角度を風位と言う。

ヨットに対する風位には「デッドゾーンの風位」と「デッドゾーン以外のすべての風位」とがある。

1.   デッドゾーンの風位:

ヨットが進むこと(セーリング)が出来ない風位の範囲で、風上から左右にそれぞれ40~45°程度の範囲である。

2.   デッドゾーン以外のすべての風位:

デッドゾーン以外のすべての風位で、ヨットの舷にどの方向から風を受けるかで、「スターボードタック」と「ポートタック」に分けられる。

   スターボードタック(starboard tack)

ヨットの右舷に風を受ける状態の風位

   ポートタック(port tack)

ヨットの左舷に風を受ける状態の風位

 2)セーリングの状態

1.   クローズホールド(close hauled):

 風上に向かって最大限に切り上がってセーリングしている状態をクローズホールドと言い、最も重要なセーリングの基本である。

 目的地がクローズホールドより風上(デッドゾーン)にある場合は、直接目的地へ向かうことが出来ないので、スターボードタックのクローズホールドの場合はポートタックのクローズホールドへ、ポートタックのクローズホールドの場合はスターボードタックのクローズホールドへ風上に向かって一気に約90°方向転換【タッキングと呼ぶ】し、これを繰り返すことにより風上(デッドゾーンの目的地)に向かうことが出来るのである。

2.   フリー(free)

 クローズホールド以外のすべての風位でセーリングしている状態をフリーと言い、クローズホールドよりは風下方向の風位となるので目的地を自由に目指すことが出来る。

 

フリーの状態も、風位によって次の4種類のセーリングの状態がある。

   クローズリーチ (close reach)

クローズホールドから、ややヘディングダウンした状態

   ビームリーチ(beam reach)・アビーム(abeam)

風を真横から受け、セーリングしている状態

   ブロードリーチ(broad reach)・クォータリー(quarterly)

風を斜め後ろから受け、セーリングしている状態

   ランニング(running)

風を真後ろから受け、セーリングしている状態